こんぺいとうの森の木々が
ぐんぐんと葉をしげらせ、
少し森を照らす光が強くなってきた日のこと。
くまさんはふと、
先月の春まつりのことを思い出していました。
春まつりの時に作ったあのいちごのムース、
みんな喜んでくれたし、
本当に美味しかったな…
手にはロールケーキのくまさんからもらった
ミルク色のハートのかけら。
くまさんはまた、
あのやさしくてふわふわな
ロールケーキのくまさんに出会った世界に
遊びに行きたくなりました。
そして、日記を書いていた手を止め、
手元の灯りを消そうとしたら…
そこは、色とりどりのアイシングや
やさしくきらめく
デコレーションでおおわれた
お菓子の世界でした。
ロールケーキのくまさんと
出会ったところとは少し違うけれど、
ここもあまくて懐かしい香りがします。
わたあめみたいに
カラフルでふわふわな雲が浮かび、
その下には、むにゅっと絞り出された
クリームのような形の
かわいらしいお家が並んでいます。
むらさきいろの屋根のお家の扉が開き、中から
「こっちだよー」
と弾むような声が聞こえます。
中に入ってみると…
「やっほー!元気にしてた?」
ちょっぴりお茶目な
カップケーキのくまさんがいました。
「どこかで会ったことがあったっけ……?」
くまさんは不思議に思いながらも、
差し出された丸い椅子に腰掛けます。
テーブルの上には、
色とりどりのカップケーキと、
湯気を立てるピーチティー。
くまさんは、カップケーキのくまさんに、
最近のできごとをたくさん話しました。
春まつりで作ったいちごのムースのこと。
昨日、一生懸命に焼いたパンケーキのこと…
「ほら、ちゃんとできてる。」
カップケーキのくまさんは微笑みながら、
ハートのかけらを差し出しました。
それは、うすい紫に光を閉じ込めたような
小さなハートでした。
くまさんは、
お気に入りのテーブルの前にいました。
右手にはペン、左手にはさっきの小さなハート。
「確かに、ちゃんとできてたかも。」
そう小さく呟いて、
ノートの端に大切なひとことを書きました。
”ちゃんとできてた。”
その文字は、
少しだけ、きらりと光って見えました。