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ロールケーキの
くまさんのおはなし

こんぺいとうの森に色とりどりの
お花が咲きみだれ、
春の色が溶けてきました。

明日ははるまつりの日。
長い冬のおわりを祝い
穏やかな日々が続くことを願う日です。
くまさんたちは、
朝から森の広場を夢中で飾りつけていました。


準備がひと段落したころ、
1人のくまさんは、
切り株のベンチに座っておやつのクッキーを食べていました。
すると、急にまぶたが重くなり…

気づけばそこは、
ふわふわのクリームとフルーツに囲まれた、
ほのかにあまい香りのする場所。
色とりどりのフルーツが、並んでいます。

くまさんは、
近くにあった大きなイチゴに
そっと触れてみました。
それはマシュマロのようにふわふわで、
触れるだけでやさしい気持ちになれました。

サテンリボンが敷かれたような
艶やかな道をゆったりと歩いていると、
丘の上に、丸いケーキの形のお家が見えました。



あまい香りに誘われて、お家に入ると、
ロールケーキのくまさんが
ストロベリーティーを淹れているところでした。

「こんにちは!」
家の中でやさしい声が響きます。

くまさんはロールケーキのくまさんのお家で、
ストロベリーティーと、
ふわふわのロールケーキを頂きました。

森のチューリップがきれいに咲いたこと、
明日、森では春まつりがあること…

そして、くまさんは少しだけ声をひそめました。

「楽しみなんだ。
でもね、
ちゃんとできるかなって
ちょっとだけこわいんだ。」

ロールケーキのくまさんは、
頭のクリームにそっと触れて、
やわらかく笑いました。

「そっか。
楽しみなときほど少しこわいよね。
でも、もう春は逃げないよ。」

「きっと大丈夫。」
ロールケーキのくまさんはそう言って、
ほんのりとあたたかい
やわらかなミルク色のハートのかけらを
手渡してくれました。

くまさんは、
元の切り株のベンチに座っていました。
手には、食べかけのクッキーと、
ミルク色のハート。

ハートのかけらをそっと閉まって、
広場の方へ歩き出しました。