← 一覧に戻る 抹茶パフェの|くまさんのおはなし

抹茶パフェの
くまさんのおはなし

〜うつろう季節の午後〜

こんぺいとうの森に、
ふわりとあまい香りがただよい、
桜の花が、ひかえめに咲きはじめました。

森のくまさんたちは、
家の大きな窓から差しこむ
やさしい春の光に包まれながら、
ふたりでティータイムを楽しんでいました。

カップを手に、
窓の外の桜の木を眺めながら。

すると、いつのまにか、
きらきらとした光につつまれて、
まぶたがゆっくりと重くなり、
ふたりはうとうと……。

〜みどり色の夢の世界〜

気づけば、そこは
まろやかな香りのただよう、
みどり色の場所でした。

こんぺいとうの森と同じように、
まだ空気はひんやりしているのに、
陽だまりだけが、
そっとあたたかさを含んでいる場所です。

「あれ、ここどこだろう?」
ひとりのくまさんが、
きょろきょろしながら言いました。

すると、もうひとりのくまさんが
そっと微笑んで言いました。

「これはきっと……
 きみの言っていた、
 あまい夢の続きだよ。」

「あぁ、
これがあの夢なんだね。」

ふたりは顔を見合わせて、
静かにうなずきました。

〜抹茶パフェのくまさんとの出会い〜

くまさんたちは、
みどりの景色を楽しみながら
ゆっくりとお散歩しました。

すると、ふわりと
ほろ苦くて、やさしい
お抹茶の香りが漂ってきました。

香りに誘われるように進んでいくと、
川のほとりで、
お茶を楽しんでいるくまさんがいました。

頭に抹茶アイスをちょこんとのせた、
抹茶パフェのくまさんです。

「こんにちは。
一緒にお茶、飲まない?」

そう言って差し出されたお茶は、
甘さの中に、
少しだけ大人の味がまじっていました。

ふたりは、
川のせせらぎと、
やわらかな風に包まれて、
ほろ苦いお抹茶と、
甘酸っぱいいちご大福を分け合いながら、
ゆったりとした時間を過ごしました。

〜やわらかなみどり色のハートを胸に〜

「会えて、うれしかったよ。」

抹茶パフェのくまさんはそう言って、
雪解けのあとにのぞく、
やわらかな芽吹きの色のような
ハートのかけらを
そっと手渡してくれました。

「また会おうね。」

そう言ったかと思うと、
ふっと景色がゆらいで、
気づけば、
くまさんたちは
見慣れた家の中にいました。

窓からは、
静かに落ち着いた、春の光。

また一緒に、夢の中へ行けたらいいね。

そんな思いをそっと胸に、
くまさんたちは
みどり色のハートを見つめていました。