第一部:森にひろがる夜
こんぺいとうの森に、
夜がしずかにおとずれました。
木々の間からのぞく空は、
ひときわ澄んでいて、
星たちはこぼれるようにまたたいていました。
くまさんたちは草の上に並んで座り、
夜空を見上げては
「まるで森の中にも、
小さな星がこぼれ落ちてきたみたいだね」と
そっとささやきあいました。

第二部:ひとつぶのかけら
その夜、
ひとりのくまさんが足元に
小さな光を見つけました。
それは、
星のようにやわらかく、
澄んだ光を放つ不思議なかけらでした。
「もしかして本当に
お星さまが落ちてきたのかな」
仲間たちが首をかしげると、
かけらは答えるように
ふわりと色を揺らめかせました。

第三部:やさしい色の誕生
深い青と、
やわらかな黄色。
ふたつの光をそっと手にのせると、
かけらはゆっくりと溶け合いながら、
ひとつの色へと変わっていきました。
それはまだ、
名前を持たない色。
紙の上に、布の上に、
静かにひろがって、
にじんで、線になり、点になり。
夜空の奥に、
やさしい灯りが
ひとつ、またひとつ
ともるように。
くまさんたちは、
その色を見つめながら、
すぐに言葉を与えることはしませんでした。
ただ、
満天の星を見上げるときの
安らぎや、
胸の奥にしずかに残る穏やかさを、
その色の中に感じていました。
こうして、
色は少しずつかたちを覚え、
時間をかけて森になじんでいきました。
それは、
こんぺいとうの森に
はじめて生まれたやさしい夜の色。
星月夜の色に、
まだ名前がなかった頃のおはなしです。