第1章:雨模様の森
雨が降りつづいているこんぺいとうの森。
くまさんは窓から外を眺めていました。
今日はお友だちのくまさんと一緒に
森の奥の方まで星のかけらを探す
お出かけの予定でしたが…
今日はおあずけ。
お昼ご飯に卵たっぷりのオムレツを食べてから
一息ついていました。
お腹がいっぱいになったくまさんは、
気づけばうとうと夢を見始めたようです。
第2章:お菓子の世界のやさしい出会い
そこは一度訪れたことのあるような
ケーキ型の建物がある場所でした。
丸ごとのショートケーキや、
カットされたケーキの形のお家が並んでいます。
くまさんは沈んでいた心に
ちょっぴり元気が出てきた気がしました。
どんどん歩き続けていると、
庭にたくさんのお菓子のお花が咲いた
まあるいケーキのお家の前にたどり着きました。
中からあまい香りが漂ってきます。
くまさんは扉をトントンと、ノックしてみました。
中から「こんにちは!」と、
軽やかな声が聞こえてきました。
そこにいたのは、ふわふわのクリームの襟と
ろうそくをちょこんと頭に乗せた
バースデーケーキのくまさんでした。
お家の中には、
ふわふわのスポンジのようなソファ、
いちごのクッションに
ふわり軽やかなレースのカーテン。
まるで、ケーキが丸ごとお家になったようでした。
くまさんは
バースデーケーキのくまさんの用意してくれた
アフタヌーンティーをいただきながら、
ちょっぴり気持ちが沈んでいたことを話しました。
「せっかく森の奥まで行けるチャンスだったのに
雨が降って行けなくなっちゃったんだ…」
バースデーケーキのくまさんが言いました。
「そっか、それは残念だったね。
でもね、雨の日だって、なんでもない今日だって、
きみがそこにいてくれるだけで
世界はこんなに明るくて特別な日なんだよ。」
バースデーケーキのくまさんは、
頭の上のろうそくをぽっと灯しました。
その光は、お部屋だけでなく、
くまさんの心まで温かく照らしていくようです。
「ここにいるだけで、特別な日…」
そうつぶやいて自分の手を見つめました。
星のかけらを探しに行けなくても、
何気ない今日という日を、確かに過ごしている。
くまさんは、
心がぽっと温かくなるのを感じました。
バースデーケーキのくまさんは、
ふわり解けるような「ベージュのハート」を
ひとつ、プレゼントしてくれました。
それを受け取った瞬間、
くまさんの心は空に浮かぶ雲のように、
ふんわりと軽くなりました。
「ありがとう。なんだか、このままで大丈夫な気がしてきたよ。」
……。
第3章:なんでもない日も大切でとくべつな日
パッと目を覚ますと、
そこはいつものお部屋の中でした。
目の前には、食べ終えたオムレツのお皿。
そして、くまさんの手の中には、
夢で見たのと同じ、
ベージュのハートが握られていました。
「よし。今日はお家でのんびり過ごそうかな。」
そうつぶやいて、
くまさんは本棚から1冊本を取り出して、
椅子に腰掛けました。
窓の外では相変わらず雨が
降りつづいていたけれど、
くまさんの心の中には、
あまいケーキのような、
明るくてやさしい特別な時間が流れていました。

